尻尾を握って軽く左右に振って力なくグニャグニャであれば、そろそろ今日あたりかな、という感じです 仙座靱帯が産道を広げるために緩んでくるからと云われています
・尾の付け根がゆるむ(しっぽの横に線が見えてくる)
・乳房が肥大化する
・陰部の腫脹や粘液が出る
・食欲が低下する
・落ち着きなく歩き回る
・腹部が大きく膨らみ下方に移動する
という兆候があります いよいよとなるとは前足で床を掻いてそわそわし出し、やがて陣痛が始まります ヤギの場合、多くは昼の明るい時間帯に出産します 早朝の場合もありますが、夜中の出産は少ない方です
陣痛が始まったらよく観察して陰部から両前足の上に鼻先が見えたら正常分娩です そのまま静かに見守ってもらって大丈夫です 私は顔が半分出てきたくらいのタイミングで介助して引き出します 引き出すと云っても力を込めるのではなく、母ヤギの分娩の力に手を添える程度です 殆どはこの正常分娩です
肢が1本の場合や、鼻先が見えないときは異常体位で難産の危険があります 一度お腹の中に戻して引き出します 余りない事態ですが、ないわけではない
ヤギは陣痛から出産までの時間が比較的かかる動物ですが、最初の陣痛から半日程度経っても分娩がない場合は、かかりつけの獣医さんに連絡するなどして対処した方が良いと思います
産まれましたら、あらかじめ乾いたぼろきれを大量に用意しておき、濡れた赤ちゃんヤギの躯を拭き取って乾かします 母ヤギも一生懸命舐めます 初乳を手搾りして注射筒で静かに100~150ml飲ませると良いでしょう 20分ほどで立ち上がり、母乳を探します 最初の頃は誘導してあげます 虚弱な子ヤギであれば、自力で母乳を吸えるようになるまで注射筒や哺乳瓶で1 日 4~5 回哺乳します 母ヤギは体力を消耗しているので、みそ汁を飲ませます 臍の緒を赤チンなどで消毒します 1-2週間ほどで自然に切れます 臍の緒には、臍動脈と臍静脈(肝臓と胎盤をつなぐ血管)と尿膜管(子牛のオシッコをためるために膀胱と尿膜をつなぐ)の3本の管があります これらの管は、子ヤギが生まれたらすぐにつぶれて「索」という状態になるのですが、なかなか管がつぶれず開いたままになると、ここからバイ菌が入って膀胱炎や腹膜炎を起こす子がいるのです
後産が始まり、胎盤が陰部から出てきて、しばらくぶら下がります 無理に引き出さず、自然の排出を待ちます 落ちた胎盤を母ヤギが食べようとしますが、私は穴を掘って片づけます また、ヤギ舎の床が羊水などでかなり濡れて汚れますので、そのエリアを交換し、乾いて清潔な状態に戻します
これが最初の陣痛が始まって1時間ほどの感動的でありながら慌ただしいドラマです
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