哺乳すること自体よりも、いつ、誰のミルクを、どのようにして、どこであげるか、ということを定めることが大変です 人の手で哺乳したい(しなければならない)、その理由によってさまざまな筈です
1.母ヤギから十分なミルクが採れない
2.母ヤギがおっぱいをあげない(402.項)
3.子ヤギの哺乳が下手なので慣れるまで一時的に哺乳したい
4.子ヤギが虚弱、あるいは他の兄弟姉妹に負けてありつけない
5.親子分離して飼養したい
6.母ヤギのミルクを人間ももらいたい
と云った背景が考えられます
5と6に関しては、子ヤギと親とを物理的に離して飼養する環境が必要です
1-4はその必要はなさそうですが、4.で子ヤギの状態によっては隔離してあげることが良いかも知れません
まず器具を用意します 人工乳首と空の500mlペットボトルです サージミヤサワがヤギ用のプリチャード乳首を扱っています 先端を切って穴を開けます
飲ませるミルクは人工ヤギミルクもありますが、私は搾ったヤギミルクを低温殺菌し、冷蔵保管しているものを40℃強に暖め直してあげます 母ヤギからの哺乳にある程度慣れた子ヤギならば、最初、このゴム乳首の感覚を嫌がると思います お腹がすいているので直に吸いついてきます
人工哺乳で、最も大切なのは衛生的な器具を用いるということと、ミルクの温度管理です 大体という人間の感覚ではなく、必ず温度計を使ってください 「ミルクを飲ませるとふるえが来て調子が悪いんです」という場合はたいてい冬場で、人の感覚でミルクを調乳してすることによります 外気温が低いと、手の温度感覚が狂い、少しミルクの温度が低くても「正しい温度」に感じてしまうのです 寒い日はお風呂が熱く感じるのと同じです
子ヤギの内部体温は39.5℃平均ですから、36℃くらいのミルクでは、体温が奪われてしまいます 第4胃とくっついている腸の温度も低下します 腸内では善玉菌は高温に強く、悪玉菌は低温に強いのです 腸が冷えて低温に強い悪玉菌の方が優勢になります すると消化不良や胃腸炎を起こし、元気も食欲もなくなってしまいます
哺乳する1回あたりの量や日の回数は家畜改良センタ長野支場のデータを参考にしています
4の場合は、虚弱な子を親に預けて、強い子を(例えば夜だけ)分離する手もあります 6のケースでも分離するのは夜だけで、朝に搾乳することが考えられます
人工哺乳が必要になったとき、どのような手順でやっていけば良いのか、あらかじめ想像しておいてください
Copyright © 2016 Farmer's Ristorante herberry All Rights Reserved.