離乳食などに手をかけず、母ヤギに子育てを預けても相応に子ヤギは育ちます ただ、体型の良い優秀なヤギに育てたいなら、分娩前(いわゆる乾乳後期)の母ヤギへの栄養に加え、生後3ヶ月齢までの過ごし方が非常に大事になります
生後4日目ほどから遊び喰いし出しますので、スターター(人工乳とも言われます、代用乳ではありません)と言われる飼料や短く裁断したプレミアム乾草を与え始めます 食べることよりまずは口にくわえて慣れることから始めます 直に母乳の他にこのような飼料や青草も食べ出しますので、徐々に増やしていきます スターターに親ヤギの配合飼料も混ぜて、その率を徐々に増やし、70日齢頃には完全に切替えます
自然哺乳の場合、母乳を飲んでいる間は、なかなかスタータ-の食い込みが上がりません 出来れば親子分離し、日に2回親につけてあげましょう 母ヤギの餌箱にスターターを入れておくと、子ヤギは母ヤギが食べるものを信頼しますから、スターターの食いつきがよくなります
3ヶ月まではルーメンを育てる大事な時期なので、良質なプレミアム乾草を与え続けますが、これも2ヶ月を過ぎた頃には徐々に親と同じ乾草に切替えていきます ただし、品質の劣る乾草は第四胃から十二指腸にかけて未消化のまま滞留しやすく食滞が起きますので注意してください
こうして3ヶ月齢後半位になると親と同じ食事になります 食べたもののうち、繊維とデンプンはルーメンで発酵消化して3種類の酸(VFA:揮発性脂肪酸という酢酸、プロピオン酸、絡酸)になります これらの酸がヤギのエネルギー源になるのです この酸を吸収するのがルーメンの「粘膜絨毛」です つまり、健康な粘膜絨毛がなければ、吸収が悪くてエネルギーに変えられないだけでなく、ルーメンに酸が溜まり続けて胃酸過多になってしまいます 「ルーメンアシドーシス」といわれるもので、代謝病の大きな原因となります
スターターなどの離乳食を適切に与えると、この粘膜絨毛がしっかり育ってくれます 後々のヤギの発育や健康にも大きく貢献してくれるのです
さて、ここまでで現実問題として大事なことは、これらの離乳食をどうやって子ヤギだけに与えるか、つまり親ヤギが食べられないようにするか、ということです 親ヤギの前でこのような飼料を出せば、子ヤギがありつく前に、瞬く間に食べられてしまいます 一時的なものであっても親子分離の環境をつくる必要があります
どうやって、どのようにして子ヤギを育てたいのか、育てられるのか、あらかじめのシミュレーションが重要です
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