「家畜の福祉」という言葉があります。アニマルウェルフェアと言います。
「5つの自由」を掲げられています。紹介しましょう。
・飢えや渇きからの自由
・不快からの自由
・痛み、外傷や病気からの自由
・本来の行動する自由
・恐怖や苦痛からの自由
どれも当たり前のことに思えます。しかし、これが掲げられているのは、この当たり前が家畜の世界ではできていなかった証です。家畜は、英語で“Livestock”。人間に搾取され続けてきた動物なのです。
現代の社会は、個人の考えや生き方を尊重します。
自分の尊厳を守りたいという気持ちは、誰かを尊重することにつながります。誰か、とは人間でもあれば、生きとし生けるものであり、場合によっては地球という惑星のことでもあります。家畜もその一員に加えられるべきでしょう。
家畜とは、人間がその生活に役立つよう、野生動物であったものを馴化させ、飼養し、繁殖させ、品種改良したものをいいます。広義でとらえれば、人間自身も家畜です。
しかし、この「尊重」の優しい哲学は矛盾を帯びています。
人の命を支えるために、肉になったり、卵を産んだり、ミルクを出したり、そういう家畜たちを「尊重する」とは一体どういうことなのでしょう。5つの自由とは、実は非常に重い命題なのです。
イヌやネコを家族同様に可愛がる方もいれば、無残な状態で放置する人もいます。
人ですらも、戦禍の中で非業にも失われていく命があります。
平和な状態にある国にあって、ヤギを飼い、その命と向き合うことでなにかを深く考えるきっかけになる気がします。
答えはきっとないんだろうけれど、今のこういう社会だからこそ、私たちがそれぞれの中で抑えておかなければならない宿題です。
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