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農園リストランテ

02.なぜ、そして、どのようにヤギと暮らすのか

ヤギを飼うために最も大事なことは、目的や大枠の構想を決めることです。
私の場合、
1.ミルクを搾乳する。自産店消のレストランのシンボルにする。レストランから出る野菜の残渣を餌にし、フンは堆肥にして畑に戻す、という食循環のパートナーでもある。
2.飼養環境は、1,000坪ほどの土地内で自宅兼店舗の建物に併設してつくる。
3.自営業であるので、時間はそれなり自由に使える。大がかりな投資は無理。
ということが大きな前提にあり、この条件をもとに大まかなスケッチをしました。

a.小頭飼いとし、導入するヤギは健康で丈夫な血統つきのものにする。
b.繁殖してミルクをとる(子ヤギは原則、里子に出して小頭飼いを保持する)。
c.レストランに併設するため、衛生には十二分に配慮する。
d.放牧だけに頼らず、乾草を併用して飼養する。
e.牡ヤギは飼わないで、人工授精で繁殖させる。
という基本線を決めます。

この決めが非常に大事です。
ヤギに限らず、生き物を飼うにあたって最も大事なことは、やはり「生命(いのち)を預かる」ということなんだろうと思います。飼いたい、という衝動だけで動いてしまうと、やがて行き詰まってしまいます。十分な心構えで臨んだつもりでも、実際にヤギを飼い始めると、毎日の作業に追われたり、「欲」のようなものが生まれ、この基本線がおろそかになってしまうことがあります。
お産や搾乳などから解放される冬場は、考えをまとめる良い期間です。私はこの季節を利用し、一年を振り返り、来春以降、どのように飼育していくのか、そのためにどんな準備と工夫が要るのかを毎年熟考します。人は変わっていきます。知識や経験を積み重ね、歳も重なり、周りの環境も変化します。私とヤギの関係も、徐々に変わっていきます。ですから、その都度都度にチューニングしていく必要があるのです。
それでも、最初に決めた基本線は微動だにさせません。基本を守りながら、柔軟に動いていく、それが大事だと思っています。

※基本線の背景
a.小頭飼いし、導入するヤギは健康で丈夫な血統つきのものにする。
使える土地と労力のキャパを超える頭数は飼わない。小頭のヤギを一匹一匹大事に育てていく。健康で丈夫な体質のヤギを導入し、継承する。
b.繁殖してミルクをとる。(子ヤギは原則、里子に出して小頭飼いを保持する)
子ヤギは3ヶ月齢のタイミングで、公募した里親さんに譲渡する。除角、去勢などを適切に施し、産子登録も行い、大事に育てて里親さんにバトンタッチする。純血ヤギの育種に貢献する。
c.レストランに併設するため、衛生には十二分に配慮する。
「牧場臭」がいっさいない衛生環境を造り保持する。フン清掃等の衛生ルーチンワークを愚直に徹底していく。
d.放牧だけに頼らず、乾草を併用して飼養する。
十分とは言えない採草地を前提とした栄養管理、運動管理を行う。
e.牡ヤギは飼わないで、人工授精による繁殖を行う。
悪臭防止と健康で丈夫な個体を継承させるため、インブリーディングを回避して、人工授精による繁殖を行う。必要な国家資格を取得する。

<牧場の外観>

<ひとりずつ>

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