飼うという立場になったとき、ヤギとイヌネコとの違いで、意外に大きなことは「ヤギは家畜」ということです。
ヤギは「家畜」です。例えどのような目的で飼おうが、家畜であるがための法を飼い主が遵守しなければなりません。法とは、
・家畜伝染病予防法(飼養衛生安全基準)
・飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律(飼料安全法)
・食品衛生法
・家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律(家畜排せつ物法)
などです。
そのため、ヤギを飼う時点で行政機関に届け出る義務があります。
届け出ますと、年に一度、報告物などの手間が生じます。面倒なものではありませんが、畜産事業を営む方と同じようなレベルの書類を求められるので面食らうと思います。
※めん羊やヤギの飼養数が6頭未満(つまり5匹まで)の場合は小規模所有者扱いとなり、簡易です。
まずは何故そうなのかをご理解ください。
家畜法の大きな役割に、伝染病の予防と拡散防止があります。
粗悪な飼い方や不注意が原因となって、最悪、口蹄疫などの重大な伝染病を発生させてしまったら、その町、あるいは更に広範囲に牛などを処分しなければなりません。それを仕事にしている畜産家の方に取り返しのつかない甚大な影響を与えます。
例えば、東国原さんが知事だったときに宮崎県で発生した口蹄疫では、29万7,808頭もの家畜の尊い命が犠牲になりました。口蹄疫はヤギにも罹る伝染力が非常に強い疫病です。
そういうリスクを持つ「家畜」を飼う以上、例え小頭で、商用目的でなくとも、伝染病などを避けなくてはならないのです。
それにしても、これらの法令や基準は、畜産農家ではない、小頭しか飼っていない方にはいかにも過重な気がします。現実的にどうすれば良いのかというガイドライン(のようなもの)が必要なのではないかと常々考えています。
そもそも、これらの法令は、家畜の健康そのものを護るためではなく「人が口にする食品を生産する家畜」が、人間に悪影響を及ぼすことを性悪説の視点で防止することを主眼にしています。人の社会を護るためのものです。畜産の現場で働く方の行動をマニュアルで規定し、防波堤となる設備を設けるという2つを軸にしています。病原菌を内部に侵入させず、発生させず、外部に漏出させないため・・・・・・ということをしなさい、と、まあそういうことであります。
そういう発想ではなく、ヤギを健やかに飼うためのルールということにした方が私にはすんなり来ます。人間社会に悪影響を与えない、という点は同じですが、似ていて非であります。私が日常的に行っている作業を棚卸しして、そこに不衛生・不安全な要素が漏れ残っていないかみつめてみました。ヤギそのものの健康を大事に考える性善説の立場です。
具体的には8項で触れます。
ヤギを飼ったら、行政機関に届け出なければなりません。イヌネコと違い「ヤギは家畜」です。
<干し草小屋の掃除>
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